日々たれながし
「獄寺君、あれは何の声?」
「あれは、鳥の鳴く声です」
「獄寺君、これは何のにおい?」
「これは、風が運んだ、潮の香りです」
俺の目を覆った手が、囁く声がどこまでも優しくて甘い。
『10代目、10代目、
俺は貴方のためなら、いくらだって非情になれます。
誰を傷つけても殺してもこの手が血に汚れてもかまわない。
だけど、
俺の成した光景を貴方が見るのは、少し辛い。
貴方が、そんな俺を見ることが怖い。
………きっと、貴方は冷たい視線一つで俺の息の根を止めることが
できるから
だからどうか、
10代目、目を閉じていてください』
本当はウソだなんて分かってる。
これは風の運ぶ潮の香りではない。
血と、硝煙と、火薬のにおい。
あれは、鳥の鳴き声ではない。
あれは、爆音と悲鳴と最後の祈りの声。
けれど、目を覆った手が少し震えているのを知っていたから。
目は閉じたまま。
(だけど、
どうか覚えていて。
君の罪は、
俺の罪)
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