日々たれながし
夕焼けの土手を、二人で歩く。
ツナが高校に入学した頃から、彼の家庭教師の指令で、下校時に日替わりで守護者が護衛をするということになった。
あの雷の子どもが果たして護衛という役割を担えるのかどうかはともかく。
自分の前日が雲雀恭弥であるという腹立たしい事実も置いといて。
なぜ、自分がと、思わなくもない。
骸は、ぼんやりと数歩先を歩くツナの踵を見る。
夕日で、影が長く伸びている。
「骸さあ、いっつも俺の後ろ歩いてるよね」
なんで?
振り返るツナの髪が、瞳が、朱金に染め上がっていて、
それが綺麗で。
眩しくて、骸はそっと目を逸らした。
「………まがりなりにも僕は護衛ですからね。いつ何が起こっても対処できるように、数歩後ろを歩くのは当然です」
ふうん、とツナが口を尖らせる。
と、ひょいひょいっと足取り軽くツナが隣に並んできた。
「………あのねぇ」
「いいじゃんよー」
骸、ここは日本なんだぜ。
そういうツナに、平和ボケが、と吐き捨てようかとも思ったがなぜかそんな気になれず、骸は呆れたようにため息をつくだけにとどめた。
初日こそ、骸の顔を見たツナは、カチンと凍りつき、恐怖に強張った顔でだらだらと冷や汗を流した。
なのに、回を重ねるにつれ、骸がすぐにでも襲い掛かるつもりではないらしいと悟ったツナはどんどん緊張をとき、今では気安く話しかけてくる始末だ。
(ってゆうか、リラックスしすぎだと思うんですけど!!)
自分は、彼の『敵』であったはずだ。
殺そうとしたし、たくさん傷つけた。
今でも、自分が守護者をしているのは君の体を狙っているからだとハッキリ宣言している。
のに。
(アルコバレーノはいったいどういうつもりなのか)
骸は、隣でのん気に歩いているツナを盗み見た。
まったく調子が狂う。
これだけ緊張感がないのであれば、いつでも、それこそ今すぐにでも彼と契約をすることは可能なのだが。
しかし、ツナの柔らかく風に揺れる髪を見ていると、まあいいかという気になる。
今すぐ、でなくても。
(それこそ思う壺だ)
と冷静な声は聞こえるが、骸は黙殺した。
しょうがない、ではないか。
この時間が壊れるのが、なんとなくもったいない、と思ってしまうのだから。
ツナが高校に入学した頃から、彼の家庭教師の指令で、下校時に日替わりで守護者が護衛をするということになった。
あの雷の子どもが果たして護衛という役割を担えるのかどうかはともかく。
自分の前日が雲雀恭弥であるという腹立たしい事実も置いといて。
なぜ、自分がと、思わなくもない。
骸は、ぼんやりと数歩先を歩くツナの踵を見る。
夕日で、影が長く伸びている。
「骸さあ、いっつも俺の後ろ歩いてるよね」
なんで?
振り返るツナの髪が、瞳が、朱金に染め上がっていて、
それが綺麗で。
眩しくて、骸はそっと目を逸らした。
「………まがりなりにも僕は護衛ですからね。いつ何が起こっても対処できるように、数歩後ろを歩くのは当然です」
ふうん、とツナが口を尖らせる。
と、ひょいひょいっと足取り軽くツナが隣に並んできた。
「………あのねぇ」
「いいじゃんよー」
骸、ここは日本なんだぜ。
そういうツナに、平和ボケが、と吐き捨てようかとも思ったがなぜかそんな気になれず、骸は呆れたようにため息をつくだけにとどめた。
初日こそ、骸の顔を見たツナは、カチンと凍りつき、恐怖に強張った顔でだらだらと冷や汗を流した。
なのに、回を重ねるにつれ、骸がすぐにでも襲い掛かるつもりではないらしいと悟ったツナはどんどん緊張をとき、今では気安く話しかけてくる始末だ。
(ってゆうか、リラックスしすぎだと思うんですけど!!)
自分は、彼の『敵』であったはずだ。
殺そうとしたし、たくさん傷つけた。
今でも、自分が守護者をしているのは君の体を狙っているからだとハッキリ宣言している。
のに。
(アルコバレーノはいったいどういうつもりなのか)
骸は、隣でのん気に歩いているツナを盗み見た。
まったく調子が狂う。
これだけ緊張感がないのであれば、いつでも、それこそ今すぐにでも彼と契約をすることは可能なのだが。
しかし、ツナの柔らかく風に揺れる髪を見ていると、まあいいかという気になる。
今すぐ、でなくても。
(それこそ思う壺だ)
と冷静な声は聞こえるが、骸は黙殺した。
この時間が壊れるのが、なんとなくもったいない、と思ってしまうのだから。
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