雲雀編 ,
リボーン(以降リ)「よし、行ってこい」
ツナ(以降ツ)「無理」
リ「………ほほう。即答とはな。俺に逆らえると思ってんのか?」
ツ「 っ!だ、だ、だって無理だよ!!あの雲雀さんだよ!?行ったら確実に噛み殺されるよ!!」
俺まだ死にたくないよ!と叫ぶレポーター
リ「ふむ。じゃあ、選択肢をやるゾ、ツナ」
ツ「せせせせんたくし?」
リ「今、ここで素直に雲雀んとこ行ってどっきりをしてくるか、もしくは………今は懐かしの死ぬ気弾で、パンツいっちょうで死ぬ気で突撃どっきりをしてくるか。どちらか選べ」
ツ「それすでに選択肢じゃねーーーーーーーーー!!!」
(どっち選んでも噛み殺されるの確定じゃんか!!)
リ「さ、どうする?」
チャキリ、と銃をツナの額に突きつけるキャップ
ツ「……………………行ってきます」
並盛中学校、応接室前
ツ「と、いうわけで並中まできました、レポーターの綱吉です………ってゆーかなんで並中?あの人並中に住んでるわけ?」
もし本当にそうでも驚かない、と思うレポーター
ツ「ううう、生きて帰れるといいなあ…………でも確かあの人葉っぱの落ちる音でも起きるとか言ってなかったっけ(標的29参照)……………グッバイ俺の人生………」
ゴクリ、と喉を鳴らしつつ、極力静かに応接室の扉を開くレポーター
ツ「おおおおおおじゃましま~す……」(こそっ)
雲雀(以下雲)「…………スー……」
ツ「ねっ寝てる………っ」
ソファで横になっている風紀委員長を発見。そろりそろりと近付くレポーター
ツ「………わー……本当に寝てるや…………」
ツ「…………………ででででもこれからどうしたら……?寝起きどっきりってことはつまりこの人起こさなきゃってこと!?無理!!」
ツ「うううううでもひょっとして起こさないとパンツいっちょう?そんな………やっぱり噛み殺される運命なんじゃないかー……せ、せめて半殺しで済ませてもらえるといいなあ……」
ほろりと涙をこぼすレポーター。世を儚むのに夢中でいつのまにか雲雀が身を起こしているのに気付いてない(鈍感)
雲「 何してるの」
ツ「ぎゃあ!!」
雲「ふわ~あ……………あんまりうるさいから起きちゃったよ」
ツ「ひひひひひひば、雲雀さん!!おはようございます!ごめんなさい!!」
お邪魔しましたーーー!!と、今にも逃げ出そうとするレポーターの首根っこをひっつかむ雲雀。ちらりとレポーターの持つ『寝起きどっきり』というプラカードに目をやる。
雲「 ふうん」
ツ「わわわわっ!ちがっこれは違うんです!すいませんすいません!!」
慌ててプラカードを隠すレポーター
雲「寝起きどっきりね………いい度胸してるじゃないか。僕の眠りを妨げるものはみんな死ぬんだよ」
ツ「死っ……!!?」
雲「……まあいいか。でもただで帰れるとは思ってないよね」
ツ「はははいい!?」
雲「僕はもうちょっと寝るから」
あわあわとするレポーターを無理矢理ソファに座らせると、雲雀はごろんとその膝に頭を乗せた
ツ「!!!?」
雲「ふあ………じゃあおやすみ………」
ツ「ちょ、雲雀さ……!?これはいったい!?」
雲「ああ、言っとくけど。ちょっとでも身動きしたり声を出したら噛み殺すから。よろしくね」
ツ「え”………!?」
ピシリと固まるレポーター。おかまいなしに寝る雲雀。
結局、朝の登校時間になるまでそのまま枕にされてしまったレポーターなのだった
めでたしめでたし?
了平編 、
早朝。笹川家の前で、所在無げに立ち尽くすレポーター。
ツナ(以降ツ)「おはようございます………レポーターの沢田綱吉です。ええと、前回着いてきてくれたレポーターその2の獄寺君なんですが、キャップことリボーンに『これはツナの修行だっつってんだろ、てめえらの出る幕なんざねえ』と吹っ飛ばされて、いません……山本も、着いてこようかとしてくれたんですけど……なので、今日は一人です。正直心ぼそいです」
ツ「………ってゆーか……お兄さんちって京子ちゃんのうちってことじゃん!!ダメだよ、そんな、こんな朝っぱらからよりによって京子ちゃんちにおしかけられないよ……どうしろってんだよー」
ドアの呼び鈴を押そうか押すまいかと、ふらふらと指を彷徨わすレポーター
ツ「京子ちゃんちに初めて来たのが、こんな理由だなんて……ううう、やっぱダメだ。普通に迷惑だよ。今日は帰ろう……」
くるりと踵を返したとき、
ドガーーーーン!!という勢いで、笹川家のドアが開いた
ツ「えええええええ!?なに!?なに!?」
了平(以下了)「むっ!?そこにいるのは沢田ではないか!!」
家から出てきたのは、元気はつらつとした、了平本人だった
ツ「お、お兄さん!」
了「こんな朝早くからどうしたというのだ?…はっ!さては、いよいよボクシング部に入る気になったのだな!!」
ツ「ちがっちがいます!」
了「む?ではどうしたというのだ?京子ならまだ寝ておるぞ」
ツ「いいいいえ、京子ちゃんに用事でもなくて!!………そ、そのー…」
そのとき、了平がツナの持つ、『どっきり大成功!!』のプラカードに目をとめた
了「どっきり??」
ツ「あ、いや、これは!!」
実は、了平の寝起きに突撃取材をして、どっきりさせようというリボーンの企画なのだ。ということをしどろもどろで説明するレポーター
了「……ふむ、分かった!!」
ツ「わ、わかってもらえましたか」
了「つまりボクシング部に」
ツ「ちがあああああああああう!!」
頭を抱えるツナ
ツ「ぜえぜえ………朝からテンション高いですね……」
了「うむ!!今日も極限だ!!」
ツ「はは…………お兄さんは、いつもこんな朝早くに起きてるんですか?」
了「うむ、トレーニングとして毎朝のランニング10kmは欠かしてないぞ」
ツ「じゅじゅじゅじゅっきろ!?」
朝から!?と目を剥くツナ。自分には考えられないことだ。
ツ「す、凄いですねえ」
了「早朝ランニングは気持ちいいぞ!!そうだ!沢田もこれから一緒に走らんか!?」
ツ「ええええええええええいやいやいや、遠慮します!」
コロネロ(以下コロ)「そういわず、行ってこいコラ」
ツ「ぎゃあ!!」
突然頭上から聞こえてきた声に思わず飛び上がるレポーター
ツ「こここコロネロ!?」
了「おう、師匠おはよう!!」
コロ「おう。せっかくだから、お前も走って来いコラ!多分リボーンのやつの思惑もそのへんにあるんだぞ、コラ」
ツ「えええーーー」
了「うむ、では行くぞ沢田!!」
ツ「ちょ!まっ………勘弁してくださーーーーーい!!」
了平に引きずられて、早朝の並盛町を走り出すツナ。いーーやーーーだーーー!!という叫び声がだんだんと小さくなってゆく。
めでたしめでたし?
夕焼けの道を、二人で歩いた
あ、烏だ~
のんびりした声がして、ついイラッとする。
自分が彼の隣にいるとなぜだかモヤモヤグルグルとしているというのに、お前というやつは、という気分になる。
目を上向けると、確かに数羽の烏が夕焼けの空を飛んでゆく。
「かーらーすー、なぜなくの。ってね」
「………………………なぜ鳴くんですか」
「はあ?」
きょとん、とした目で見上げてくる。
「知らないの?」
反射的にそう聞いたのか、言った直後にしまったというようにツナの眉間に皺が寄った。
なんて分かりやすいのか。
「……日本の童謡だよ」
骸たちには、童謡なんて教えてくれるような存在はいなかった。
そのことを思い出し、自分の失言に瞳を曇らせる。
それが見たくなくて、
「確かにさすがの僕でもこんなアジアの矮小な島国の童謡なんて知りませんけどね。僕が日本語に堪能だからって忘れていませんか?そもそも僕は海外に住んでいたんですが。それなのにたったそれっぽっちの知識で自慢げにされても困りますね、どれだけ上から目線なんですか?ああ、分かりました、そうですよね。君が僕に知識で勝っているというのは経験の違いからくるそれくらいの問題くらいしかないですもんね、なけなしの上位を驕りたくなっても仕方がないと言えるかもしれませんね。どうぞどうぞいくらでも誇ってください、確かに烏だかなんだかの童謡の歌詞なんて存じませんから私めにお教え願いますか綱吉さま?」
「………………俺が悪かったです、ごめんなさいごめんなさいもうしません」
涙目になって謝るツナに、分かればいいんですと満足そうな息をつく骸。
「……それで、なぜ鳴くんですか?」
「えっとねえ」
ツナはちょっと照れたように口ごもると、
そっと歌った。
かーらーすー、なぜなくのー
からすはやーまーにー
骸は、目を細める。
小さな歌声が、
彼の歌声が。
耳に届く。
かーわいーい、なーなーつの子があるかーらーよー
かーわい、かーわいーとからすはなくの
かーわい、かーわいとなくんだよ
山の古巣へ行ってみてごらん
かわいい七つの子があるはずよ。
歌い終えたツナは、ちらりと骸を見上げた。
「………まあ、可もなく不可もなくといった感じですか」
「誰が歌唱力の評価をしろと言ったよ!!」
歌って損した!と憤慨するツナに、自然と口元が緩んだ。
「………おっ、お前は……なんか覚えてないのかよ、童謡でも子守唄でもなんでも……」
そう聞くツナの声が、
誰か一人でもいい。彼らに歌を歌ってくれるような人が。優しくしてくれた人がいたらいい。
そういうように、祈るように聞こえたので。
骸は無言で記憶を辿ってみた。
「……子守唄……なら、聞いたことがあるような気がしますが」
「ホント!?」
途端にぱあっと笑顔になるツナ。
聞いたことがある、といっても。
それは、マフィアへの復讐を重ねているとき。
子どもに憑依した骸が、そうとは知らずに子守唄を歌う母親から聴いたものなのだが。
その後、その子どもの体を使ってしたことは。
彼女を愛人にしていた男の属するマフィアを殲滅した後に、赤く染まった屋敷で。
子守唄を歌ってくれた代わりに、子どもの命と自分の命どちらかだけ助けてあげましょうと持ちかけたけれど、涙を流して命乞いするハハオヤに軽く失望して、やはりこんなものかと、全てを壊したこと。
そんなことを、目の前で明るい顔をしているツナには言えなかった。なんとなく。
「じゃあ、歌ってくれよ!」
「はあ?………イヤですよ」
「なんでー俺歌ったじゃん!不公平だろー!」
「僕たちの間なんて、もとから不公平なものじゃないですか、なんていうか顔とか頭とか存在とか」
「キーーーーーー!!?」
腹たつう!!というツナに、嘘ではない笑顔を向けて、
いつかね、と骸は言う。
いつか気がむいたら。
この手の赤が落ちることはないけれど、
せめて君には優しい歌を贈ろう。
歌だけなら、こんな自分でも、君にふさわしくなるかもしれないから。
ツナが高校に入学した頃から、彼の家庭教師の指令で、下校時に日替わりで守護者が護衛をするということになった。
あの雷の子どもが果たして護衛という役割を担えるのかどうかはともかく。
自分の前日が雲雀恭弥であるという腹立たしい事実も置いといて。
なぜ、自分がと、思わなくもない。
骸は、ぼんやりと数歩先を歩くツナの踵を見る。
夕日で、影が長く伸びている。
「骸さあ、いっつも俺の後ろ歩いてるよね」
なんで?
振り返るツナの髪が、瞳が、朱金に染め上がっていて、
それが綺麗で。
眩しくて、骸はそっと目を逸らした。
「………まがりなりにも僕は護衛ですからね。いつ何が起こっても対処できるように、数歩後ろを歩くのは当然です」
ふうん、とツナが口を尖らせる。
と、ひょいひょいっと足取り軽くツナが隣に並んできた。
「………あのねぇ」
「いいじゃんよー」
骸、ここは日本なんだぜ。
そういうツナに、平和ボケが、と吐き捨てようかとも思ったがなぜかそんな気になれず、骸は呆れたようにため息をつくだけにとどめた。
初日こそ、骸の顔を見たツナは、カチンと凍りつき、恐怖に強張った顔でだらだらと冷や汗を流した。
なのに、回を重ねるにつれ、骸がすぐにでも襲い掛かるつもりではないらしいと悟ったツナはどんどん緊張をとき、今では気安く話しかけてくる始末だ。
(ってゆうか、リラックスしすぎだと思うんですけど!!)
自分は、彼の『敵』であったはずだ。
殺そうとしたし、たくさん傷つけた。
今でも、自分が守護者をしているのは君の体を狙っているからだとハッキリ宣言している。
のに。
(アルコバレーノはいったいどういうつもりなのか)
骸は、隣でのん気に歩いているツナを盗み見た。
まったく調子が狂う。
これだけ緊張感がないのであれば、いつでも、それこそ今すぐにでも彼と契約をすることは可能なのだが。
しかし、ツナの柔らかく風に揺れる髪を見ていると、まあいいかという気になる。
今すぐ、でなくても。
(それこそ思う壺だ)
と冷静な声は聞こえるが、骸は黙殺した。
この時間が壊れるのが、なんとなくもったいない、と思ってしまうのだから。
ツナ(以降ツ)「おはようございます、レポーターの沢田綱吉です」
獄寺(以下獄)「おはようございます!!レポーターその2の獄寺隼人です!」
ツ「ごめんね、獄寺君についてきてもらっちゃって………朝弱いのに」
獄「いいえ!いくらリボーンさんの修行だとはいえ、10代目だけにやらせるわけにはいけません!」
ツ「今日は、野球部のエース、山本武さんのお宅です」
獄「わざわざ10代目に起こしてもらうなんて、野球バカのくせに身の程をしれって感じですよね!!」
ツ「ちょっ!?な、なに言ってんの獄寺君!シーッ」
獄「す、すいません……」
ツ「えと、山本のうちはお寿司屋さんなので、朝早くから開いています。では、さっそく行ってみましょう!」
ツ「おはようございま~っす」
山本父「おやっ!?ツナ君に獄寺君じゃねーか!どうしたってーんだい?こんな朝早くから」
ツ「あ、あはは~………これには色々と深いワケがありまして…………」
山本父「?」
獄「おいおっさん、野球バカはもう起きてんのか?」
ツ「ちょっ!!獄寺くん!」(汗)
山本父「武かぁ?武なら、今日は朝練もねえから、まだぐーすか寝てるが……ひょっとして二人して起こしにきてくれたのかい?」
ツ「あ、は、はい。そうなんです」
山本父「……そうかあ……」
ツ「あ、あの……?」
山本父「うん、いや………ツナ君なら大丈夫だろ!」
ツ「へ?」
獄「何言ってやがんだ?」
山本父「いやいや~がんばってくれよ!ハハハッ」
ツ「おはようございま~す………」
獄「邪魔するぜ」
山本(以下山)「クカー」
ツ「うん、よく寝てるね」
獄「さっさと起こして済ませちまいましょうよ」
ツ「う、うーん……そうだね、悪いけど起こそうか」
獄「はい!任せてください!
ツ「ちょっ!そんな乱暴な!」
獄「な!!?」
ツ「や、山本のバット!?」
獄「あ、あっぶねえ!!てめぇ山本、どさくさにまぎれて10代目の右腕を奪うつもりだな!?そうはいくか!!」
ツ「えええ、そういう問題!?」
ツ「……………」
獄「……………」
ツ「……………寝てる?」
獄「……………そうみたいっスね」
ツ「ななななんで!?どうなってんのーーー!?」
リボーン「本能だな」
ツ&獄「どわああっっ!!」
ツ「リ・リ・リボーーン!?いつのまにそこに!?」
リボーン(以下リ)「キャップと呼べ」
ツ「いったあ!キャップ!!………っそれで、本能ってどういうことだよ!?」
リ「寝ていても、自分への害意に反応したんだろ。まさに生まれもっての殺し屋だな」
ツ「な、なに言ってんの!?てゆーかどうすんだよ!?」
獄「そーっスよ、リボーンさん!これじゃ起こすどころじゃないっスよ!」
ツ「や、山本~っ!どうすんだよ、キャップ!!」
リ「うっせぇ。ごちゃごちゃ言ってねえで死ぬ気で突っ込め」
ツ「へ?」
ツ「ぎゃあっ!!」
獄「ちょ、リボーンさん!?10代目が!!!」
ツ「むぐっ」
獄「ギャーーーーーーッ!!何してやがんだてめえーーーーー!!?」
獄「は、は、離せーーーーっっ!!」
山「クー」
ツ「や、山本っ」
山本父「おや、やっぱりツナ君は大丈夫だったか」
ツ「ど、どーいうことですか!?」
山本父「いやあ、昔っから無理矢理起こそうとすると無意識に攻撃かましてくる息子だったんだけどなあ。ツナ君はよっぽど信頼されてるんだろうなあ」
ツ「え、そ、そうなんですか………?」(じいん)
獄「10代目ーーーーーーーっ!?信頼してるってだけなら何も抱きしめなくてもいいはずじゃないですかっ!しっかりしてくださいーーーっ」