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日々たれながし
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          獄寺          、



ツナ(以降ツ)「…………おはようございます……今は、獄寺くんちの前まで来ています。今日も今日とて朝からリボー………キャップに起こされ、家を追い出されました。正直眠いし、一人でこんなとこでぶつぶつしゃべってるのがアホみたいで悲しいです……なので、さっさと終わらせちゃおうと思います」

ツ「獄寺くんちは、うちの近所のマンションです。結構立派な、家賃高そうなキレイなマンションです。……本当に獄寺くんてどこからそんなお金もってきてるんだろう……」

          エレベーターで目的の階まで上がるレポーター

ツ「まさか、前に無理矢理もらった合鍵を本当に使うことになるとは……」

         カチリ。
ツ「お、お邪魔しま~~す………」

ツ「え、えーと。獄寺くんの部屋は、以前にも遊びに来たことがあるのですが、あまり物が置いてなくて、割とさっぱりとした部屋です。さっぱりというか、殺風景というか……。でも、置いてあるものは趣味のいいものばかりです。      あ、前に俺が持ってきたクッションもあるなあ」
(…………なぜか、そのクッションが床でなくて棚の上に、座布団を引かれて鎮座してるんですが……ひょ、ひょっとして使ってない!?てゆーかまさか拝んでる!?)

         後で、ちゃんとクッションを使うように言おうと決意するレポーター

ツ「えと、あ、獄寺くんは寝てますね……お~い」
獄寺(以下獄)「…………スー……」
ツ「うん、よく寝てるみたいです。………寝起きドッキリってことは、やっぱ起こさないといけないのかな?なんかこんなによく寝てるのに……申し訳ないな……」
獄「……………ン…………じゅうだ………」
ツ「え?」
獄「……………十代目………」
(わっ!!獄寺くんも俺の夢見てる!?)

         ランボに引き続き、なにやら照れくさい気持ちになるレポーター

(うわーうわー……ど、どんな夢見てるんだろー)

獄「…………十代目………あっ…………」
ツ「うん?」
獄「………な、なんて……お可愛らしい……」
ツ「…………………………………………」

(……………本当にどんな夢見てるの!!?)

ツ「あ、あの、あのー……ごくでらく」
獄「……………いいんですか………じゅうだいめ…………」
ツ「ちょ」
獄「………っそ………そんなっ……だいたんなっ…………」
ツ「ちょっとおおおおおおおおおおおおおおおお!?」

ツ「ぎゃあああああああああああ起きて起きて起きて!獄寺くん!獄寺隼人!!」
(このままだとヤバイ!なんかヤバイ気がする!!)
         ゆさゆさと獄寺を揺さぶるレポーター。ぼんやりと目を開ける獄寺。

ツ「ホッ……獄寺くん、よかった目が覚め」
獄「じゅうだいめえええええええ!!」
         がばああっっ!!
ツ「ぎゃあああああああああああああああああああああ」
獄「ああ、十代目っ…十代目……っ………いいにおいぃ」
ツ「ちょ、獄寺くん!!起きてない!?まだ起きてないんだな!?」
獄「十代目ぇ…………なんか今日の夢はリアルだなぁ…………」
ツ「待って!獄寺く、ごk…………………当たってる!!当たってるから獄寺くんーーーーーーー!!??

         バシバシバシ!!
         
         死ぬ気の往復ビンタにより、ハッと正気を取り戻す獄寺

獄「じゅ、十代目!!?……………俺………」
ツ「よ、よかった獄寺くん………目が覚めたんだね!?」
         獄寺の顔色が、赤→青→土気色に変化
獄「お、俺………………………十代目、俺、マンションに住んでてよかったです」
ツ「は???」

         おもむろに立ち上がる獄寺。スタスタと部屋を横切り、ベランダへの窓を開ける。

         
振り返って、いい笑顔

獄「………俺、あなたにお会いできてよかった………さようなら、十代目……」
ツ「ちょっと待ったあああああああああああああああああああああああああ!!?」

         ベランダを乗り越えようとする獄寺、慌てて腰に取り縋るツナ

獄「し、死なせてください……っ!!俺は十代目になんてことををおおおおおお」
ツ「ダメ!ダメだってばああああ!?イヤじゃない、イヤじゃなかったからあ!!」

         ツナの必死の叫びに、ピタリと止まる獄寺

獄「……………本当ですか?」
ツ「……うっ………う、うん?………イヤじゃなかった……ような?」
獄「お、俺を許してくれるんですか?俺、十代目にきききききらわれたら死にます」
ツ「許す許す。嫌わないって」
(じゅ、十代目………なんてお優しい!!お心の広い方だ!!………しかもひょっとして脈あり?)

         ぱあああああ!と笑顔になる獄寺

獄「……ところで、十代目がなぜこんなところに?」
ツ「………うん、まあ、いろいろあって……かくがくしかじか」
獄「ははぁ、リボーンさんに……寝起きどっきりですか」
ツ「うん。………獄寺くん、ドッキリした?」
獄「すごくしました!!」

         ニカっと笑う獄寺、つられて微笑むツナ。そこで、リボーンに渡されていた『ドッキリ大成功!!』の板をひょいっと掲げる。

ツ「じゃ、大成功だね」
獄「はい!!」
ツ「………獄寺くん、おはよう」
獄「……っ!おはようございます!!」

         一番初めに大好きな十代目とおはようの挨拶を交わせた獄寺であった。

         めでたしめでたし?
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          ランボ編          、



ツナ(以降ツ)「……………ええと、おはようございます……朝からなぜこんなことをしなくてはならないのかまったく分からないレポーターの沢田綱吉です……。ってゆーか、しっかりカンペまで用意しといて、いったい何のつもりなのか……カメラ目線で、とか言われてもカメラなんてないよ!もう正直眠いし、ワケわかんないし止め」

ドカッ

ツ「イタッ!?な、なんだよリボーン寝たんじゃなかったのかよ!?何?グチグチ言ってないでさっさとやれ?あと俺のことはキャップと呼べ?はああーーーー?もう、意味分かんな……!!って、殴るなよ!分かった、やるよ!やります!やらせていただきます!」

     ごそごそ。

ツ「えーー……、ごほん。改めまして、おはようございます、沢田綱吉です。今日は、沢田家の居候、ボヴィーノファミリーのヒットマン、ランボさんに寝起きドッキリをしかけたいと思います。いや、ヒットマンと言っても、実際はいっつもリボーンに泣かされてるただのうざい5歳児なんですけどね……」

ツ「ええと、ランボはうちの母さんや、同じ居候のイーピンと一緒に寝てます。ちなみに父さんの部屋にフゥ太が寝てて、和室にビアンキが寝てます。…………ひょっとしてこのまま居候が増え続けてどんどんうちが狭くなっていっちゃうんじゃないかとか、ちょっと不安になったりもするんですが……」
ツ「え、何?話が逸れた?         ええと、キャップから叱られたので、ではさっそく部屋にお邪魔してみましょう。ちなみに、母さんはこの時間にはもう起きて朝ごはんを作ってるのでいません」


ツ「お邪魔しま~~す」(こそっ)

      スヤスヤ。

ツ「ランボもイーピンも、気持ちよさそうに寝ていますね……」

ツ「えっと、イーピンはお行儀よく寝てるんですけど……ああ、もうランボ…また布団蹴っ飛ばして……」
        布団をそっと直してやるレポーター


ランボ(以降ラ)「むにゃ……」
ツ「お?」
ラ「むにゃむにゃ…………ぐふふ……」
ツ「あ、えっと、ランボがなにやら寝言を言っています」
ラ「…………ツナァ………」
ツ「え?………俺の名前!」
ラ「………ツナ………そのエビフライ……ランボさんのだもんね…」
ツ「………………ははっ」
 (寝てるときはかわいいんだけどなあ……)
         なにやらほのぼのととするレポーター

ラ「………むむっ………リボーン!」
ツ「え?」
ラ「………………………ぐっ」
ツ「…………!?」
ラ「……ぐ…………ぐぴゃああああああああ」
 (ええええーーーーーー!?夢の中でまで泣かされてるーーーーー!?)


           泣き出したランボを必死で慰めるリポーター。泣き声で起きておろおろとするイーピン。
(ランボ………不憫なやつ………)
リポーターは、恐怖の赤ん坊に夢の中でさえ勝てないランボに、そっと涙をぬぐったのだった。

         めでたしめでたし?

        早朝。
まだ太陽は顔を覗かせたばかり、柔らかい光が町をそっと照らし出した頃。
ちゅんちゅんと鳴くすずめがとまる窓辺を覗くと、我らがボスが健やかな眠りをむさぼっていた。
すぴーすぴーむにゃむにゃ。
なんとも気持ちよさそうだが…………

「おい、起きろ」
ドゴッ!
「ごふっ」

布団越しに鈍い一撃を受け、ツナはごろごろとベッドから転がり落ちた。
「な、な、な…………!?なんだ!?なんだ?」
状況が分からずキョロキョロと見回すツナを、ベッドから蹴り落とした犯人が見下ろした。
「リボーン!何すんだよ!?」
「お前に任務を与えるぞ、ツナ」
「はあ!?」
しぱしぱする目をこすりながらツナが枕元の目覚まし時計を見ると、
「ろ、六時ーーーーー!?なんだよぉ、まだ全然眠れるじゃんよ~」
朝から何わけわかんないこと言ってんだよ~と嘆きながらごそごそと布団に潜り込もうとしたツナを再びリボーンが布団ごと蹴り落とす。
赤ちゃんのくせに鋭い足技である。
「もお!なんだってんだよ!?」

「ボンゴレ☆どっきり!!マル秘ほーうーこーく~~~♪」
どんどんパフパフ!わ~~~!!
効果音付き(全部口でだったが)で、妙な節をつけて、リボーンが宣言したので、ツナはビビッた。

「な。何それ?」
「昔あったテレビ番組で、早朝に芸能人に突撃取材をかけるという寝起きドッキリ番組があったらしい」
「はあ」
「お前、今日から6日間、守護者たちにドッキリかましてこい」
「はあぁ!?」
ななななななんで!?
喚くツナの頭をうるさいっとポカリ殴ると、
「寝起きという、人間にとって無防備な時間に接することで、より守護者たちとボスとの絆を深めお互いを理解するんだぞ。てゆーか俺がおもしろいからな」
「それ!最後の一言が本音だろ!?」
「黙れ。反論は許さん」
スチャッ
黒い銃口をまっすぐ額に向けられ、ツナはごくりとつばを飲んだ。
「じゃ、今から行って来い。俺は寝るからな。起こしたらコロス」
「ちょ、無理矢理だよ!しかもお前寝るのかよ!!」

つべこべ言わずに、とっとと行って来ーーーーーい
ドッカンと、ツナはその朝、自らの部屋のドアから放り出されたのだった。


     続く。






つ、続くのかな?^^

夜。
手元を照らすのは、重厚な造りの机に置かれた凝った装飾を施されたランプの明かりと、窓から入る月明かりだけ。
ツナは、幾分緊張した指で筆を取った。
目の前にしているのは、ボンゴレのトップに就任してから、何年もかけて行ってきたある活動の集大成だった。
緊張するのもいたしかたないものだと思う。
やっと、やっとだ。
この書類にあと何箇所かサインをすれば、それで終わる。
やっと、だった。

そのとき。

           正気ですか?」

薄暗い部屋の隅から、ぽつりと声がした。
誰もいるはずのない空間だった。
ましてや、巨大マフィアボンゴレの、しかも党首の部屋だ。
許可なく誰も入れるはずはない。
しかし、その影はまるで闇が凝り固まったかのように、突然そこに現れた。
ツナは、一瞬だけ指を止めたが、また作業に戻った。

「あなたがやっているのは、獰猛なケモノの檻の鍵を開けるようなものだ。開けた瞬間に喰いつかれるかもしれないのですよ?」

コツコツ、と音を立てて暗がりから進み出たのは、美しい少女。
艶やかな黒髪を持つ少女の瞳は、本来なら濡れたような黒だったが、
今は紅と蒼。
いつも着けている髑髏マークの眼帯は、外されていた。

「…………………そうだな」
「分かっているのなら」
「お前の意見は聞かないよ」

突き放したような言葉に、少女は唇を噛んだ。
ぎらぎらとした眼差しが、指を動かす青年を睨みつける。
「恩を売るつもりですか。しかし、ケモノには恩を感じる心もない」
「恩なんて売るつもりはない」
「では、同情ですか?」
「そうかもしれないな」
「………………やはり君は、どこまでも甘い」

吐き捨てるように少女は呟いた。

「僕はあなたの大事なファミリーに害を成す存在ですよ。牢から出したからといって、君の配下につくなどと甘い夢を見ているのなら、君は愚か者だ」
暗い笑み。
「少しずつ、初めは分からないように、痛みを感じないように。けれど確実に、命を削り取ってさしあげます。ガリガリとね?」

ツナは、溜息をついた。
「何を怯えているんだよ」

          何を、」
「そうだよ、俺はお前の言うとおり甘いよ。愚か者だ。いつまでたってもダメツナだ」
振り仰いだ青年とまともに視線を合わせ、少女は怯んだように顎を引いた。
「同情でもなんでもいい。でも、俺はお前を助けるよ、骸。ファミリーを傷つけさせたりは、絶対させないけど」
(お前は、もうそんなことしないと、俺は思うけどね)
口にしない思いは超直感ではなく、沢田綱吉個人の確信だ。
ツナの薄茶色の瞳は、骸のオッドアイから逸らされずに、まっすぐに射抜いた。

「霧の守護者が必要なら、クロームで充分でしょう。彼女の力に不満が?」
「ないよ。クロームはよくやってくれてる」

「ボンゴレ十代目に就任して何年も経つというのに、まだボスとしての自覚がないのですか?君の行為はまるで自傷行為だ」
「まあ、他の幹部たちはいい顔しなかったけどさ」
でも、反対はされなかった。
むしろ、こうなると思ったという顔をされた。

               僕は、マフィアを憎む!」
「俺もお前を許さないよ!」
怒鳴り声に、応じて叩きつけるように声を荒げれば、少女の肩がビクリと揺れた。
「俺は、お前のやったことを許さない。忘れない!お前が、俺の仲間にしたこと、ランチアさんを操ってランチアさんのファミリーにしたこと。全部、許さない」
静かに、言い聞かせるように言うと、骸の瞳が戸惑うように翳った。

「では、なぜ          僕を助けるのですか」
その声が、なんだか途方にくれて、心細い子どものようだったので。
ツナはそっと手を差し出した。
よろよろと、骸がその手に両手で掴まる。

「俺が、助けないで誰が助けるのさ」
見上げた赤と青の瞳は、やはり綺麗だと思った。
「お前みたいな問題児、俺が動かなきゃずっと水の中だぜ」
……………う……」

ぎゅっと繋がった手を握る。
「こうして触れてても。この体はクロームのだろ」
瞳を覗き込む。
「この二つの目も、やっぱり本当はお前のじゃないだろ」
            そんなの、」
「お前に、たくさん綺麗なものを見せてやりたいよ」
「……」
「朝日を浴びた街も、夕暮れの空も。満天の星も。桜の春、鮮やかな夏、紅葉に染まった秋、寒い冬」
「お前自身の目で、お前自身の体で感じればいい」
「俺の隣で、自分自身の言葉で喋ればいい」
「どんなこと言われても、俺くじけないと思うよ?ここ数年で大分鍛えられたし」
「笑って、怒って。喧嘩して、仲直りしてさ」
「この大空の下を、自由に歩けばいい」

言葉を重ねるごとに、いつしか骸の瞼は、うつらうつらと閉じかけてきていた。
体に限界が来ているのだ。
まるで縋るように、手に力が込められる。
                  に、」
「ん?」
「いっしょに、いてくれますか」
「うん」
「ず、      ずっと」
「ずっと」
瞼が閉じる最後の瞬間、骸は微かに微笑んだ。
次に瞳が開いたとき、その瞳の色は黒に戻っていた。
「…………ボス、ありがとう」
万感の思いを込めた感謝の言葉に、
「ううん」
ツナは、笑った。
明日、一緒に迎えに行こう。
そして、新しい日々を始めるのだ。

六道輪廻。
天道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道、……人間道。
回る、廻る。
この魂に刻まれた六道の記憶が、幻であれ、現であれ。
堕ちてゆく絶望を、この絶望を、誰が知るだろう。


(ああ、やはり)
(この世はこんなにも)
へどが出る。

生み出されたのは、暗くて狭い、無機質な消毒の匂いと生臭い腐った臭いに満ちて。

『やめてやめてやめて助けてやめていや助けて』
さようなら、僕をこの世に生み出したおかあさん。

『助けてくれ!なんでもする、命だけは助け』
さようなら、僕をこの世に生み出したおとうさん。

あなた方が生み出して、消した命たち。
その小さな命の叫びが、聞こえていましたか?


『化け物!!!』

くは、はは、はははははははははははははははははは!!!!
ああ、おかしい。
あなた方が、僕を、おぞましいこの世に生み出したというのに。
さようなら、さようなら。来世でも、救いのない生を祈って。

赤い花が咲く。
綺麗だ。
ああ、どうせまた巡る命ならば。
どこまでもこの世を赤く染めよう。
僕のできるかぎりの力で。






そう、そう思っていたのに。

『骸!!』



嗚呼!!
僕を、僕を呼ぶその声!!
いとも簡単に、この世界を染め上げる。
あざやかにあざやかに。
真っ直ぐに逸らさずに僕を見る瞳、魂に宿した焔。

囚われる。
受け入れてしまう。
その、見えざる鎖。とりかご。

『一人は寂しいか?』
忌々しいアルコバレーノめ。
呪われろ。

『骸』
嗚呼、もっと。
もっと呼んで。
自ら囚われてゆくよう。
あなたの赤はきっと美しいだろう。
けれど、あなたの赤だけは見たくないと、思ってしまう。
この想いは。
やはり堕ちてゆくようだ。

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